私事ですが、ずいぶん昔に見たきりで、物語はうろ覚えなのに、何とも遣る瀬ない、この夢の顛末だけが鮮明に残っています。夢の中での探し物は、早く見つけておきたいものです。
Aさん(37歳・男性)の夢
中学時代から、今も時々見る夢です。何か大事なものを必死になって探している夢です。ゴミ集積所の様な場所でひどくあせりながら、ゴミをかき分けて探していたこともあります。何を探していたのか、具体的なものは思い出せません。しかし、とても重要なものである、という意識は夢の間中感じています。大抵の場合、探し続けて夢は終わります。
Kさん(41歳・女性)の夢
職場の皆と宴会に出席している。お座敷だったようで、帰る時に、皆は靴をはいている。私の靴だけがなくて探し回る。見つからずに眼が覚めた。夢解き
Aさんはこの夢を、学生時代には試験や宿題に追いつめられた時、最近では仕事がハードな時に見たそうです。試験前や宿題が山積みの時なら「解答」を必死に探し、仕事がハードな時なら「任務完遂の手立て」を探していたのかもしれません。しかし少し気になるのは、ゴミの中を探していた時です。ゴミは「不要なもの」、そして、夢の中の光景は「夢主の内面世界そのもの」なので、「してきたことや、自身の能力は役に立たないことばかり」と、自信が持てずにいたのかもしれません。
けれど、世間的には「ゴミ」でも、常識に縛られない「夢の島」にはとんでもない宝の元が眠っている事があります。大きな発明や発見は、えてして非常識な発想から生まれます。周囲から「ゴミ」として片付けられ、Aさんも同調して捨てた考えの中に「とても重要なものがある」と感じていたのかもしれません。
いずれにしても、客観的に「今あるもの・ないもの・今後必要なもの・本当の目的や希望」等をリストアップして、大掃除が済めば「探しもの」は見つかることでしょう。
一方Kさんは、はっきり「靴」を探しています。靴には「社会的立場」の意味があります。目覚めたKさんはすぐに「久しぶりだ」と思ったそうです。10年程前、長年勤めた会社を辞め、その後の身のふり方を悩んだ頃に、靴を探す夢が続いた経験があったからです。
当時は、仕事の可能性も探りたい、実家からの独立も考えたい、「自分にふさわしい靴」=「地位や役割」は何だろうと探している頃でした。そして今回は、従事していたプロジェクトの人間関係を発端に、会社の方針に落胆と不信を、又、自分の能力への不安も感じた時でした。かつてのKさんは自分の居場所を探し、今のKさんは「私の靴だけない」=「私だけが評価されていない」という気持ちだったようです。
しかしKさんは、以前の夢以来の「頑張った自分」を思い出して「進みたい道なら、靴がなくとも裸足でも歩いてみよう」と決めました。10年前は「靴」を求めて新天地を目指した彼女でしたが、今回は自身の足で立つことを選択しました。そしてその甲斐があってか、その後状況は好転、むしろ以前よりよい「靴」を手にしたようです。