2013年4月15日月曜日

夫の模様替えの夢

夢の実例~夢主(Yさん 42歳 女性)

私は寝室で寝ている。主人は既にベッドを出ている。部屋の外が騒がしいので出てみると、主人が自分の書斎の模様替えをしている。随分大掛かりで、殆ど引越しに見える。

彼の若い頃の後輩や仕事仲間が一緒に手伝っている。中には私が今まで見た事がない家具類もあり、私が「こんなのあった?」と尋ねると「今までの置き方だとここが見えなかっただけだよ」と主人が答えた。白い木製の、機能的だけれどユニークな形で、温かみがある整理棚だった。とてもすっきりした素敵な部屋になりそうでいいなと思う。

けれどすぐに「彼の仲間がいるのに、私はパジャマのままだし、もうお昼近いのに一人だけ寝ていたことが解かるので恥ずかしい」と思う。でも、私は休みたいのだし、彼らはそんなこと気にもせず片づけをしているようだ。私はもう一度寝室に戻って、ゆっくりすることにした。


夢解き

この頃、Yさんの主人は、いわゆる人生の過渡期を迎えていました。仕事上の立場やスタンス、対人関係の癖、ひいては自分の生き方そのものまで、様々な事を悩み、心身ともに不安定な時が続いていたそうです。しかしこの夢の前日の彼は、何かすっきりした様子に映ったそうです。

夢の中の「寝室」は現実のその場所と同じく、休息を取り、エネルギーを貯える場所です。書斎は彼の社会的姿勢や感じ方そのものであり、居場所は変えずとも、中身のそう入れ変えのような模様替えをしています。それは彼が今のスタイルに合わせた、より心地よい状態に整えていこうと本腰を入れて動き出したことを示すのでしょう。

「若い頃の彼の後輩や、仲間たち」は、恐らくご主人の中にいる彼らであり、過去の自分の彼らへの接し方等への悔いやわだかまりがなくなったから、その時々の経験がむしろ手助けになっていることを表しているようにもみえます。 また、Yさんが見たことがないような家具も、実は「置き方」の問題で、以前からあったものでした。

そしてYさんが感じた「機能的だけれどユニークな形で温かみがある」整理棚は、ご主人が今までも自分の中にありながら、うまく活用できていなかった側面なのでしょう。近くでご主人の悩む姿を見ていたYさんはようやく彼がすっきりした良い状態になりそうだと感じたのでしょう。

しかしその後、Yさんは自分のことが気になります。この場面では体裁を考え、「彼に恥ずかしい思いをさせないようにしなくては」とも思ったそうです。けれど夢の中の彼らの様子を客観的に把握した後、自分の希望どおり、寝室に戻ります。彼女は休息を必要としていたのです。

家族やパートナーが心身のバランスを崩している時、近くで支える人には、多大なエネルギーが必要になります。特にYさんは、落ち込むご主人に、詳細を尋ねたり口を出したい所を我慢し、「いつも通り」を心がけて、黙って見守っていたそうです。

何も言わず、でも「行動では彼に見方をしたり、応援していく方法」は、実は具体的に口を出すよりはるかにエネルギーが必要です。ご主人が息を詰まらせていると、つい自分も同じように呼吸を止めてしまうようなことも増え、片方がバランスを取り戻した時に、支えていた側が疲れ果てるということもありうることです。

しかしYさんは、ちゃんと「私は休みたいから」と自分のコンディションも把握しています。ご主人の過渡期はご主人の問題であり、彼が片付けられているのだから、自分はゆっくり休もうと心の距離を保てています。

又、「ご主人が落ち込んでいたのは、Yさんが至らないせいではないこと」も、「Yさんがパジャマでも、昼近くまで寝ているようでも、仲間は気にもしていない」ということで把握しています。そして彼女もまた、ご主人の側にいることで同じ苦しみや悩みを体感していたのですから、しばらく「昼間で寝る」=「好きなように自分を休ませてもよい」と自分を許せたのでしょう。是非しばらくは、そうやってゆっくり過ごして頂きたいものです。