2014年8月7日木曜日

怒る夢

夢の実例~夢主 Yさん(47歳、女性)

現実とは少し違う人達だった印象だが、会社の人達20人くらいで飲食店に入った。 入口で皆、貝のようなものを10個ずつ渡される。けれど私だけ少なかったようだ。 私は 黙っていたが、イライラしていた。

その後、店の奥に案内されると、カウンター席が大きな菱形になっていて、皆でそれを囲む。 しかし店員が私に示した席は、角にあたり、無理やり椅子を入れ込んだような形だった。 他の残り3つの角はあけてあるのに、私だけそこにあてられ、他の人ではなく 「ここが貴女の席です」と言われる。

上司の男性が、「違う席を用意してあげてくれないか」と交渉してくれたり、 同僚も「こっちに詰めたら大丈夫で大したことじゃないのではないか」と提案をしてくれる。 けれど店員が頑として譲らない。私は店員にとても怒って、「じゃあ、帰るからいいです!」と 店員をにらみつけると「そうですか」と無関心な対応。私は店を出ながら店員に、何か罵る言葉を怒鳴った。


買い物をしようとスーパーに入る。するとそこでも失礼な店員が見下したよ うに私にだけ、何かさせなかったか、先と同じような状況の展開があった。詳細は覚えていない。目覚めた時、何ともむなしく、がっかりした感じがした。



夢解き
怒る夢は、内側に抑圧したエネルギーの発散や認識、また現実で本当に怒っていたことをさらに整理するために現われる場合もあります。しかしYさんには、誰かに対して怒ったり、不当な扱いを受けているという現実もありませんでした。


しかし夢の前日、気持ちがモヤモヤする出来事がありました。Yさんの同僚が、社内で奨励されている資格試験に合格したそうです。


Yさんは、日常の業務が忙しく、資格取得の勉強時間までは取りたくないと思っていました。また資格があるなしではなく、実際にできていればいいはずだとも思い、ずっと受験を避けてきました。

Yさんは、職場では期待されている中心的な人物です。合格した同僚とは仲はよいものの、Yさんよりは実力は下だと感じていたので、資格試験に挑むと聞いて、大丈夫かなと心配していたそうです。


率直に認めるならば、「会社からは早めにとっておいた方が対外的にも有利だからと勧められている試験を先送りにしてきた自分に対して、落ちるだろうと思っていた、自分より仕事ができないはずの人が合格した」という事実、に複雑な気持ちだったそうです。

ただこれはYさんの人柄ゆえのことだと思いますが、彼女は単に同僚に嫉妬したわけではなかったようです。「同僚のことを、自分より下だと思ってしまっているような自分」「もしかしたら落ちることやそれへの労力をかけることに耐えられないかもしれないと回避しているだけなのに、仕事や日常を言い訳にしているかもしれない自分」にがっかりしたそうです。

恐らく、夢の中で、彼女は自分を罰したのでしょう。夢の中で渡された貝のようなものは、スキルはじめ自分の「財」を示すものでしょう。資格がなくても社内では全く問題なく、合格した同僚らとも仲良くやっていますし、上司にもかわいがられているYさんなので、独り不自由な席でも仲間は何とかしようとしてくれます。けれど本当の自分の心を知っている店員は、容赦しません。

みんなで丸く囲む形なのに、菱形の角があったのは、Yさんの考え方にどこか紋切型だったり、柔軟性がないことを指しているのかもしれません。

初めの店の中でのことが職場でのことなら、次の買い物のシーンは私生活でのYさんを示すのかもしれません。同僚を下にみるような、職場での自分の反応も、私生活での性格も同じことなので、今度は自分が見下される立場として、いかに自分の考え方が嫌なものかを体感しています。

この夢は、こんな自分の思考パターンは嫌だなと感じていることを、改めて認識させてくれるものだったようです。「資格などどうでもいい」と拒否していたことも、もしかしたら資格を有することに固執した気持ちの裏返しだったのかもしれません。

心の奥で、実力が上だ下だと線引きしているのも一面だけを見た独善的な決めつけの1つかもしれません。Yさんは、「そんなことにこだわらない、自由な発想ができる自分でありたい」とおっしゃいました。

目覚めた時の虚しさとがっかりした感じは、そうなれない器の小さい自分に対しての思いだったようだとも感じたそうです。

よく皆様に申し上げることですが、「本気で変わりたい」と思ったその時点で、8割方変わっています。後の2割は「新しい自分への慣れ」と「練習」です。嘘だと思ったら試してください、多くの方がこうして変わっていった現実を見てきていますから、本当ですけれど、と、声を大にしていいたいことでもあります。

Yさんも、自分を罰している心のありようを体感するのは夢の中で終わりにしました。自分で自分を圧迫し、過去の自分のやり方を正当化したり、逆に否定しすぎたり、余計な葛藤はもう無用です。現実のYさんはこれから、「こうなりたい!」と思っていれば充分です。そして、時に、「まだそうなれない自分」がいても、「まだまだ練習中、次はもう少し上手くできたらいいな」と思って反復していけば、あとは時間の問題でしょう。