2013年10月29日火曜日

夢のお話~体が動かない夢2

前回、恐怖を伴わない金縛りについてお話しました。今回はその続き、怖いものを見たり感じたりするのはなぜかというお話です。


今回も私の例ですが、旅先の古い温泉旅館での俗にいう「金縛り経験」があります。早起きをしての出発でしたし、日中もよく動き回りました。そして就寝。しかし眠ろうとすると今日見たものや出来事がぐるぐる頭をめぐります。そして夢うつつから眠りに落ちていく中、いつもより、体が沈んで暗い穴におちていくような感覚を味わいました。まるで、全身麻酔の数を数えていく中で、抵抗しても暗くなっていくようなイメージです。


しばらくは眠っていたのかもしれません。ふと、気配で目が覚めました。下の部屋で人が動き回る気配です。次に上から誰かが私の顔を覗ぎこみます。寒気がして払いのけたいのですが動けません。一瞬とても怖いと思いました。けれど「金縛り状態」であることに気づき、「私が描き出した物」と解ります。平静な心にさせてくれることを思い描きました。それから、すっかり目が覚めました。体も動きました。

しかし理屈が解っていても「また眠ると、先ほどの恐怖が訪れるかもしれない」というような不安がもやもやと襲います。特に、意識が遠のきかける、半覚醒状態に陥ると理性は失われ「何か良くない霊がいるのかもしれない」と恐れをイメージ化してしまいそうになります。ただ、それは自身が作り出した幻覚です。私の場合は、はっきり思い当たる節がありました。

その日、旅館に到着後、その古くから湯治場であった建物に、病気の人も多く滞在したのだろうなと思ってしまいました。中でも、丁度私が宿泊している部屋の真下にあった「遊技場」なるものが気にかかりました。そこにはビリヤード台や小さなカウンター、ソファー等がありました。大正レトロといえなくもない風情なのですが、今はもう使われていないようでした。

私はその中の様子を、ドアのガラス越しにのぞいただけです。埃をかぶっていて、もしドアを開けたら、締め切られていた部屋にこもった空気にむせそうだと、勝手に思い描いきました。 私の金縛り時の気配は、だからこその「下の部屋からの気配」でした。気配を感じて、そこに自分の想念を写し、「そこに何かがいる」というより「何かを自分がを見ようとして見る」と言った方がいいかもしれません。

また、実際にそれが「真下の部屋からの気配」だったとは限りません。ほかのお客さんが廊下を歩いたかもしれませんし、階下の廊下を歩いた人がいたのかもしれません。眠っている時は、覚醒時では気づきもしない小さな気配や変化に気づけるものです。 

 また、仮に、そこに何かが「いる」にせよ、「いない」にせよ、ほとんどの場合、恐らく、「後からお邪魔している」のはこちらの方でしょう。それなのに、あちらを邪魔者扱いをしても失礼かもしれませんね。或は、「心に呼応するものがなければ、あちらも取り付く島もない」という考え方もあるでしょう。

また、そんなことが「ある」とも「ない」とも、断言できるような立場にもありませんし、各人が観想するのも自由でしょう。従って「あるか、ないか」の「2つに1つの、どちらかが答え」というようなものでもないと思います。だから結果として「どちらでもよいことだ」と、私個人としては、思っています。

もし「金縛り」にあい、怖くて「それが嫌」ならば、それがやってきても、やり過ごしていただきたいと思います。実際に大変なことにはなりません。ただし、自宅で続く場合は、初回にも記しましたが、ホルモンバランスの変調など、健康面の不調がかかわる場合もありますから、健康診断などもお忘れなく。

2013年9月26日木曜日

夢のお話~体が動かない夢1

暑さ寒さも彼岸までと言われる通り、急に秋めいてまいりました。ようやく、ゆっくり夢を楽しめる、夢見が増える季節です。

夏の間は寝苦しさや、暑さによる疲労などで、睡眠の質が良いとは言えない場合が多くなります。このため、俗にいう金縛りのような状態になったり、その際に怖いものと遭遇したと感じる人も増えたりします。

最近ではメディアでも科学の立場から、金縛りを説明してくださる方も多くなったので、その仕組みをご存じの方も増えましたが、まだ時々、夏の間には時々この手の相談を受けることがあります。季節は変わりましたが、今度は旅行シーズンでもあります。旅先でも見られるこの現象について、お話します。

金縛りは、体は眠っているのに、頭はが起きている状態であり、睡眠のリズムのずれによって生じる現象です。ノンレム睡眠とレム睡眠という2つの睡眠を1サイクルとして、一晩のうちに交互にこれらが訪れます。入眠時はノンレム睡眠、その後、レム睡眠がやってきます。

寝ようとした時に金縛りにあう場合は、通常であれば眠りに落ちていく時のノンレム睡眠時に、レム睡眠が訪れたケースです。レム睡眠の時は、体が完全に脱力します。けれど脳は睡眠サイクルのズレが生じたことにによって覚醒しています。そこで、体が全く動かないということに気づくのです。この睡眠のズレが、幾度かサイクルが繰り返された後に訪れれば、夜中や明け方に金縛りにあうことになります。

この睡眠のズレは、寝苦しさや疲労、旅先などでの環境の違いによる緊張、また、時差ボケや長時間の乗り物移動、ストレスなどによっても生じやすくなります。さらに、ホルモンとの関わりもあると言われており、成長ホルモンや性ホルモンなどが多く分泌される時のアンバランスが起きても生じやすくなるそうです。従って、大人より、思春期の方が多く経験するようです。また、余談ですが、いわゆる睡眠中の幽体離脱も、同様に思春期に多いようです。

例として私のケースをあげると、寝不足の翌日、横になって昼寝をしてしまった時に遭遇したことがあります。寝入ってから、だいぶ時間がたったと感じた頃、もう起きなくてはと思い、目が覚めていますが、体は全く動きません。周囲を見ると、現実と同じ景色の部屋にいます。しかし何かが重たくのしかかっているようで息苦しささえ感じ、起き上がることは勿論、寝返りもできません。

すると、出かけているはずの家族がドアを開けて帰ってきて、「寝てたの?」と声を掛けられたりします。とてもリアルです。それから少しして、やっと本当に目が覚めます。その瞬間、瞼を開けたかどうか意識もできます。その時に開けたのですから、それまではつぶっていました。勿論、家族は帰ってきてはいませんでした。

私の場合は、覚醒前の段階で、体だけが起きられないのだと解っているので、「眠り方を間違えたなあ、椅子にすればよかった」と思いました。また、実際には目があいていないのに部屋を再現して見ているのですから、「どこか現実と違う所があってもいいのだけれど」と探そうとしたりもしました。これはこれで、なかなか面白いものです。

しかし、先で金縛りにあった時には、初めの段階では怖さを感じた経験もあります。こうなる場合と上記の例いは大きな違いがあります。それについては次回掲載したいと思います。

2013年7月15日月曜日

スマートフォンを探す夢

夢の実例~夢主 (Hさん 40歳・男性)
スマートフォンのカバーを取り替えようとしてはずし、今までつけていたものを捨てる。でも次の瞬間から 、スマートフォンも見当たらなくなる。一緒に捨ててしまったのかと、慌てて探すがゴミ箱 にはない。場所は自分の部屋に似ているが、雑然としていて違う場所。

後輩のような20代前半くら いの男の子が一緒にいる。私は、彼の携帯から私のスマートフォンに電話を掛けて鳴らして欲しいと彼に頼む。すると彼は「電話代がかかるし、俺は関係ないじゃないっすか」と渋る。「電話代は私が払うから」と、面倒くさそうな彼を説得して掛けてもらう。電話は鳴っている。でも自分の体からなっているように聞こえる。服のポケットなどを探すが、どこにもない。

場面は古い日本家屋に変り、今度はそこで探している。酷く散らかった部屋。 その家に住む女性が現れる。上品な女性で、探すのを手伝ってくれる。

つめえりの学生服が壁からぶら下っていて、そのポケットも探す。その中には自分がいつも使っている煙草の道具が入っていた。女性から、「それは弟のものなので、ちゃんと 同じ所に戻しておいてくれないと、叱られてしまうから」と注意される。弟という人は、自分の習慣を邪魔されると、とても機嫌を損ねるそうだ。先の後輩の男の子もいて一緒に探してくれるが、見つからない。

そこで目が覚めたが、夢との間にいるような感覚。しかし枕元には、実際に夢で探していた自分のスマートフォンがあるのを見て、「あった!よかった」とほっとする。そして、すぐに一緒にさがしてくれた彼らに知らせて御礼を言わなくては、と現実のように思う。たぶん、そのまままた眠った。お礼を言えたかどうかわからない。


夢解き

Hさんにとってスマートフォンは、「なくてはとても困るもの」「スケジュール管理やデータのやり取り、様々な記録、地図や音楽、メモ等、自分の代わりに記憶をしてもらっているようなもの」だそうです。

彼は、職業柄かなりスマートフォンやタブレット端末を活用している 、この手のものにとても強い方です。それだけに、「少し大げさかもしれないけれど、自分の公私共のデータも含めて、頭脳をコピーしている分身のようなもの」とおっしゃいます。

その「スマートフォンのカバー」=自分のカバー=「外の世界に向けた顔やイメージ」 といえるでしょう。カバーは、デザイン性などで自分の個性を示すものであり、さらに本体をショックから守るものであることから、より「自分へのダメージを避けるための個性にみせた鎧」のようなものかもしれません。

Hさんはそれを「変えよう」としました。けれどそれを外してしまうと、本体である自分自身もなくなってしまうような気がしているので、本体も見失います。

しかしそれは自分の体から鳴っています。したがって、本当は、外に向けた顔も、本来の自分も、自身の中にあり、既に一体化しているのだから、自分をどう打ち出そうか、或は、どう守ろうかと悩む必要はないようです。

けれど、それを阻んでいるのは、夢の中には姿としては出てはきませんでしたが、「弟」の存在なのかもしれません。 

「自分の習慣や一度設定した物事を邪魔されると、とても機嫌を損ねる傾向」は、Hさん自身のものだそうです。それは不意の出来事に驚いてしまったり、怖いから抵抗したい反応であることにも、Hさんは気づいています。

この傾向の強まりは、Hさんが「学生服を着ている頃」に経験した生活上の変化などによる影響もありました。

その後、Hさんが夢に出てきた「後輩男性の年頃」になると、今度は、神経質なことが格好悪いと感じ、逆に 何事をも「どうでもいい」「面倒くさい」という鎧まとうことで超えたこともあったそうです。しかし Hさんはすでに、面倒くさがる自分と対話することができます。動いてくれるように説得もで きます。

また「お姉さん」は女性ですが、Hさんの側面です。非常に繊細で、女性的な神経のこまやかさや、創造性を表しているようです。そして男性性特有の「秩序を守ること」や「それから外れるものは切断する」ような白黒つけた厳しさではなく、中庸を図ったり、曖昧だったり流動的なものも、そのまま包含する母性的な面を担当しているようです。

彼女は、時々顔を出す「弟」の癇癪を、 なだめてくれる、Hさんの中に生きる人物なのかもしれません。

これは、Hさんの中の様々な側面が人の形となり登場し、Hさんに協力をしてくれている夢といえそうです。

多重人格という症状があります。もちろん、Hさんは異なりますが、「主になる人格」が「夢の中のHさん本人」であり、それぞれの人格が独立しているように感じられたので、夢うつつの時に本当に「報告をしたかった」そうですから、形は似ていたのかもしれません。

そして、恐らくHさんが得た「新しいカバー」を付けた本体=「彼自身」は、彼の中の皆が、ともに模索して探してくれたものであり、Hさんにとっては心強いものであり、嬉しいことだったのでしょう。したがって、今後は問題行動の要因になりうる「弟」をフォローすることも案外簡単なのかもしれません。

最後に余談ですが、昔はスマートフォンはもちろん、携帯電話もありませんでしたね。夢解きも、せいぜい「電話」であればこんな意味合いがある、という程度です。正直なところ、今回の夢の象徴は「新しい!けれど普遍的!」と何だかうきうきしました。

夢解きの歴史は長く、その時々で、それへの解釈が生まれてきたことでしょう。けれどどんな時も、まずは自分にとって、それが何を意味するのか、を考えれば、夢辞典に出ていないようなものでも、解きほぐせます。

オリジナルを大切にして、自分の夢辞典をつくりながら、夢との付き合いを楽しんでください。  

2013年4月15日月曜日

夫の模様替えの夢

夢の実例~夢主(Yさん 42歳 女性)

私は寝室で寝ている。主人は既にベッドを出ている。部屋の外が騒がしいので出てみると、主人が自分の書斎の模様替えをしている。随分大掛かりで、殆ど引越しに見える。

彼の若い頃の後輩や仕事仲間が一緒に手伝っている。中には私が今まで見た事がない家具類もあり、私が「こんなのあった?」と尋ねると「今までの置き方だとここが見えなかっただけだよ」と主人が答えた。白い木製の、機能的だけれどユニークな形で、温かみがある整理棚だった。とてもすっきりした素敵な部屋になりそうでいいなと思う。

けれどすぐに「彼の仲間がいるのに、私はパジャマのままだし、もうお昼近いのに一人だけ寝ていたことが解かるので恥ずかしい」と思う。でも、私は休みたいのだし、彼らはそんなこと気にもせず片づけをしているようだ。私はもう一度寝室に戻って、ゆっくりすることにした。


夢解き

この頃、Yさんの主人は、いわゆる人生の過渡期を迎えていました。仕事上の立場やスタンス、対人関係の癖、ひいては自分の生き方そのものまで、様々な事を悩み、心身ともに不安定な時が続いていたそうです。しかしこの夢の前日の彼は、何かすっきりした様子に映ったそうです。

夢の中の「寝室」は現実のその場所と同じく、休息を取り、エネルギーを貯える場所です。書斎は彼の社会的姿勢や感じ方そのものであり、居場所は変えずとも、中身のそう入れ変えのような模様替えをしています。それは彼が今のスタイルに合わせた、より心地よい状態に整えていこうと本腰を入れて動き出したことを示すのでしょう。

「若い頃の彼の後輩や、仲間たち」は、恐らくご主人の中にいる彼らであり、過去の自分の彼らへの接し方等への悔いやわだかまりがなくなったから、その時々の経験がむしろ手助けになっていることを表しているようにもみえます。 また、Yさんが見たことがないような家具も、実は「置き方」の問題で、以前からあったものでした。

そしてYさんが感じた「機能的だけれどユニークな形で温かみがある」整理棚は、ご主人が今までも自分の中にありながら、うまく活用できていなかった側面なのでしょう。近くでご主人の悩む姿を見ていたYさんはようやく彼がすっきりした良い状態になりそうだと感じたのでしょう。

しかしその後、Yさんは自分のことが気になります。この場面では体裁を考え、「彼に恥ずかしい思いをさせないようにしなくては」とも思ったそうです。けれど夢の中の彼らの様子を客観的に把握した後、自分の希望どおり、寝室に戻ります。彼女は休息を必要としていたのです。

家族やパートナーが心身のバランスを崩している時、近くで支える人には、多大なエネルギーが必要になります。特にYさんは、落ち込むご主人に、詳細を尋ねたり口を出したい所を我慢し、「いつも通り」を心がけて、黙って見守っていたそうです。

何も言わず、でも「行動では彼に見方をしたり、応援していく方法」は、実は具体的に口を出すよりはるかにエネルギーが必要です。ご主人が息を詰まらせていると、つい自分も同じように呼吸を止めてしまうようなことも増え、片方がバランスを取り戻した時に、支えていた側が疲れ果てるということもありうることです。

しかしYさんは、ちゃんと「私は休みたいから」と自分のコンディションも把握しています。ご主人の過渡期はご主人の問題であり、彼が片付けられているのだから、自分はゆっくり休もうと心の距離を保てています。

又、「ご主人が落ち込んでいたのは、Yさんが至らないせいではないこと」も、「Yさんがパジャマでも、昼近くまで寝ているようでも、仲間は気にもしていない」ということで把握しています。そして彼女もまた、ご主人の側にいることで同じ苦しみや悩みを体感していたのですから、しばらく「昼間で寝る」=「好きなように自分を休ませてもよい」と自分を許せたのでしょう。是非しばらくは、そうやってゆっくり過ごして頂きたいものです。