2011年6月15日水曜日

あやまる夢

夢の実例~夢主Tさん(40歳・男性)

空港の滑走路の近くを歩いている。すぐ横にある大きな河川敷で、高校時代の同級生のAに会う。彼はずっと弟を養っているらしい。だらしなくて嫌な奴だと思っていたけれど、そんな生活をしているとは知らなかった。胸が痛んだ。悪かった、と謝る。

夢の背景

Tさんによると、Aさんは昔から周囲に迷惑を掛けたり、手っ取り早く楽をしようとする軽率な人だったそうです。Tさんは彼を見下し、嫌っていたと言います。卒業以来Aさんと付き合いはありませんが、最近Aさんが新しい仕事を始めたらしいと、級友の噂で知りました。 Tさん個人の状態としては、今後の自分の身の振り方を考えている所でした。


夢解き

Tさんの、「これからの自分を考え、新しくなりたい、飛び立ちたい、世界を変えたい」と思う状態が、滑走路や大きな川に現れています。滑走路に沿わず、 空港に入って飛行機に乗れば、新天地につくでしょうし、川を渡った先には新しい発見が待っています。けれどそれができずに、川や滑走路に 沿って歩いて見ているTさんです。

彼が進めない原因の1つは、「勝手な決め付け」や「自分への疑いや罪悪感」或いは「後悔や過去の出来事に縛られているため」だったのかもしれません。

Tさんは、親や弟妹孝行もできず、自分が好きな道で夢を追いかけてきたと、思っていました。これでいいのか、ということを最近考えていたそうです。

「いつまでもそんなことをしていていいのか」という現実での罪悪感が「Aさんの弟を養っている話」になって現れてきます。

「かつてはあんなにだらしないと嫌っていたAさんの方が、実はちゃんと責任を果たしていて、自分はふがいない」そう思ったのかもしれません。Aさんに対してTさんが抱いているイメージは、自分の姿だったようにみえます。

現実で、Aさんが新しい仕事を始めたと聞いた時も、Tさんは「人はそんなに変わらない、どうせまた人にぶらさがって、ずるい方法で動いているんだろう」と思いました。

事実は何も知らないのに「そんなに変われないと」と決め付けているのは「自分自身が変われるはずがない」と決め付けていたからかもしれません。

又、どこかで、「もしかしたら今は立派にやっているかもしれないAさん」を、頭から否定した自分への自己嫌悪などもあったようです。

そんないろいろな思いが、夢の中でAさんに謝ったことで解消されます。過去の罪を償い、許してもらったような安心が得られ、みそぎを終えたような気持になれたのかもしれません。

現実のAさんに対しても、偏見を捨てられるでしょうし、自分に対しても自己卑下をやめ、率直に今後についてを考えられるでしょう。また、これからは、夢の中の心の痛みの経験により、他の人に対しても、自分に対しても、勝手な決めつけはしなくなるのかもしれません。