暑さ寒さも彼岸までと言われる通り、急に秋めいてまいりました。ようやく、ゆっくり夢を楽しめる、夢見が増える季節です。
夏の間は寝苦しさや、暑さによる疲労などで、睡眠の質が良いとは言えない場合が多くなります。このため、俗にいう金縛りのような状態になったり、その際に怖いものと遭遇したと感じる人も増えたりします。
最近ではメディアでも科学の立場から、金縛りを説明してくださる方も多くなったので、その仕組みをご存じの方も増えましたが、まだ時々、夏の間には時々この手の相談を受けることがあります。季節は変わりましたが、今度は旅行シーズンでもあります。旅先でも見られるこの現象について、お話します。
金縛りは、体は眠っているのに、頭はが起きている状態であり、睡眠のリズムのずれによって生じる現象です。ノンレム睡眠とレム睡眠という2つの睡眠を1サイクルとして、一晩のうちに交互にこれらが訪れます。入眠時はノンレム睡眠、その後、レム睡眠がやってきます。
寝ようとした時に金縛りにあう場合は、通常であれば眠りに落ちていく時のノンレム睡眠時に、レム睡眠が訪れたケースです。レム睡眠の時は、体が完全に脱力します。けれど脳は睡眠サイクルのズレが生じたことにによって覚醒しています。そこで、体が全く動かないということに気づくのです。この睡眠のズレが、幾度かサイクルが繰り返された後に訪れれば、夜中や明け方に金縛りにあうことになります。
この睡眠のズレは、寝苦しさや疲労、旅先などでの環境の違いによる緊張、また、時差ボケや長時間の乗り物移動、ストレスなどによっても生じやすくなります。さらに、ホルモンとの関わりもあると言われており、成長ホルモンや性ホルモンなどが多く分泌される時のアンバランスが起きても生じやすくなるそうです。従って、大人より、思春期の方が多く経験するようです。また、余談ですが、いわゆる睡眠中の幽体離脱も、同様に思春期に多いようです。
例として私のケースをあげると、寝不足の翌日、横になって昼寝をしてしまった時に遭遇したことがあります。寝入ってから、だいぶ時間がたったと感じた頃、もう起きなくてはと思い、目が覚めていますが、体は全く動きません。周囲を見ると、現実と同じ景色の部屋にいます。しかし何かが重たくのしかかっているようで息苦しささえ感じ、起き上がることは勿論、寝返りもできません。
すると、出かけているはずの家族がドアを開けて帰ってきて、「寝てたの?」と声を掛けられたりします。とてもリアルです。それから少しして、やっと本当に目が覚めます。その瞬間、瞼を開けたかどうか意識もできます。その時に開けたのですから、それまではつぶっていました。勿論、家族は帰ってきてはいませんでした。
私の場合は、覚醒前の段階で、体だけが起きられないのだと解っているので、「眠り方を間違えたなあ、椅子にすればよかった」と思いました。また、実際には目があいていないのに部屋を再現して見ているのですから、「どこか現実と違う所があってもいいのだけれど」と探そうとしたりもしました。これはこれで、なかなか面白いものです。
しかし、先で金縛りにあった時には、初めの段階では怖さを感じた経験もあります。こうなる場合と上記の例いは大きな違いがあります。それについては次回掲載したいと思います。