岡田淳/作・絵 理論社
大人の方が楽しめて、また心揺さぶられる気がします。
物語のおはなし第一回目は
1994年から始まった
「こそあどの森シリーズ」の3作目。
この森でもなければ、
その森でもない、
あの森でもなければ、
どの森でもない「こそあどの森」には、
風変わりな住人が暮らしています。
「森のなかの海賊船」は、
シリーズ1作目で登場した
森の外に住む「ナルホド」と「マサカ」が、
主人公「スキッパー」と
再会する所からはじまります。
森の奥でキャンプをしていると言う
ナルホドとマサカですが、
実は「森の中の海賊船」を
探していたのでした。
その海賊の名は、
100年以上前に実在したと
言われている「フラフラ」。
「海賊物語」には
残酷な海賊だと記録されている
フラフラです。
しかし「こそあどの森」に暮らす作家
「トワイエさん」は、
どうしてもそれが信じられないといいます。
なぜなら彼は、全く別の真実を暗示する
古書をもっていたからでした。
そこには、海賊といわれながら、
魔術師とも呼ばれていたフラフラが、
催眠術か手品で人を酔わせ、
金持ちからは興行収入をいただき、
貧しいものには元気を与えていた
のではないかと推察できる内容が記されていました。
ナルホドとマサカは、
自分たちの宝探しを「人生の宿題だ」
といいます。彼らにも森のなかにある
海賊船と宝をずっと捜す理由がありました。
森の住人は彼らに協力することを決め、
森に向かいます。
フラフラはなぜ海賊になったのか。
なぜ海ではなく、森のなかの海賊船の
伝説になっているのか。
真実がわかる中で
愛と憎しみや孤独が何を作っていくのか、
強い思いはどう残り
何を生み出していくのか、
心に落ちる気がしました。
岡田淳先生の挿絵も含めて200ページ強、
大人なら1~2時間もあれば
読み終わると思います。
勿論、できれば第一作から
順に読んでいただけると、
住人のキャラクターがよく解かり、
それが展開に深みを与えてくれて、
楽しさ倍増です。
('08.3.30.)
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